フィナステリドとデュタステリドの違い|AGA治療薬の効果・副作用を比較
AGA治療の内服薬として処方されるフィナステリド(プロペシア)とデュタステリド(ザガーロ)。どちらも5αリダクターゼ阻害薬としてAGAの進行を抑える薬ですが、作用の範囲、効果の強さ、副作用の発現率、費用が異なります。
「どちらを選べばいいのか」――これはAGA治療を始める方が最初に直面する疑問の一つです。本記事では、2剤の違いを医学的根拠に基づいて比較し、薬剤選択の判断材料をご提供します。
この記事でわかること
- フィナステリドとデュタステリドの基本情報と作用の違い
- DHT抑制率と増毛効果の比較
- 副作用・費用・選択のポイント
フィナステリドとデュタステリドの基本情報
フィナステリド(プロペシア)とは
フィナステリドは、II型5αリダクターゼを選択的に阻害するAGA治療薬です。
- 商品名: プロペシア(先発品)
- 国内承認: 2005年(AGA治療薬として日本初の承認)
- 作用機序: II型5αリダクターゼを阻害し、テストステロンからDHTへの変換を抑制
- DHT抑制率: 70~73%
- 用量: 1日1回 0.2mgまたは1mg
世界で最も使用実績のあるAGA治療薬であり、長期の安全性データが蓄積されています。日本皮膚科学会ガイドライン(2017年版)で**推奨度A(強く勧める)**に分類されています。
デュタステリド(ザガーロ)とは
デュタステリドは、I型およびII型の両方の5αリダクターゼを阻害するAGA治療薬です。
- 商品名: ザガーロ(先発品)
- 国内承認: 2015年(AGA適応での承認は日本と韓国のみ)
- 作用機序: I型+II型5αリダクターゼを二重阻害
- DHT抑制率: 90~92%
- 用量: 1日1回 0.1mgまたは0.5mg
フィナステリドがII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型も阻害するため、より広範囲のDHT産生を抑制します。推奨度Aに分類されています。
効果の違い|DHT抑制率・増毛効果・効果発現時期
DHT抑制率と増毛効果の比較
| 比較項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 阻害する酵素 | II型のみ | I型+II型 |
| DHT抑制率 | 70~73% | 90~92% |
| 増毛効果 | 基準 | 約1.6倍 |
| 前頭部への効果 | 限定的 | フィナステリドより優位 |
| 頭頂部への効果 | 有効 | 有効(より高い効果) |
デュタステリドの増毛効果はフィナステリドの約1.6倍とされています。特に前頭部(生え際)の薄毛に対しては、I型5αリダクターゼも阻害するデュタステリドの方が効果を発揮しやすいと報告されています。
ただし、これは平均値であり、個人差があります。フィナステリドで十分な効果が得られる方も多く、「デュタステリドの方が必ず優れている」とは言い切れません。
効果が出るまでの期間
| フィナステリド | デュタステリド | |
|---|---|---|
| 効果発現の目安 | 3~6ヶ月 | 6~12ヶ月 |
| 最大効果の目安 | 1~2年 | 1~2年 |
| 効果判定の推奨時期 | 6ヶ月以上 | 6~12ヶ月以上 |
デュタステリドは効果発現がやや遅い傾向にありますが、最終的な効果はフィナステリドを上回る場合があります。いずれの薬剤も、最低6ヶ月は継続した上で効果を判定してください。
副作用の違い|発現率と注意点
性機能への影響
| 副作用 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 性欲減退 | 1.1% | 3.9% |
| 勃起機能障害 | 0.7% | 4.3% |
| 射精障害 | ― | 1.3% |
数値だけを見るとデュタステリドの方が副作用の発現率が高く見えますが、臨床試験ではプラセボ群でも同様の訴えが一定割合で認められています。いずれも発現率は数%以内であり、服用中止により多くの場合回復します。
副作用への不安が強い方にとっては、まず発現率の低いフィナステリドから開始することが合理的な選択です。
その他の副作用と半減期の違い
| フィナステリド | デュタステリド | |
|---|---|---|
| 半減期 | 6~8時間 | 3~5週間 |
| 肝機能への影響 | まれ | まれ |
| 乳房圧痛 | まれ | まれ |
半減期の違いは臨床上重要なポイントです。
フィナステリドは半減期が6~8時間と短く、服用を中止すれば比較的早く体内から排出されます。一方、デュタステリドは半減期が3~5週間と非常に長いため、中止後も数ヶ月にわたって効果と副作用の両方が持続します。
この特性から、副作用が出た場合にデュタステリドの方が対処に時間がかかるという点を理解しておく必要があります。
重要: 両薬剤とも女性(特に妊娠の可能性がある方)は服用禁忌です。経皮吸収の可能性があるため、女性は錠剤に触れることも避けてください。
費用の違い|月額相場の比較
ジェネリック・先発薬の月額
| 先発品 | ジェネリック | |
|---|---|---|
| フィナステリド | 6,000~8,000円/月 | 3,000~4,500円/月 |
| デュタステリド | 8,000~12,000円/月 | 5,000~8,000円/月 |
フィナステリドのジェネリック(後発品)は多数の製薬会社から販売されており、月額3,000円台から治療を開始できます。デュタステリドのジェネリックも流通していますが、フィナステリドと比べるとやや高額です。
年間コストの差
| ジェネリック年間コスト | |
|---|---|
| フィナステリド | 36,000~54,000円 |
| デュタステリド | 60,000~96,000円 |
| 差額 | 24,000~42,000円/年 |
AGA治療は長期継続が前提であるため、年間で2~4万円のコスト差は累積すると無視できない金額になります。効果とコストのバランスを考慮した選択が重要です。
どちらを選ぶべきか|選び方のフローチャート
まずフィナステリドから始める理由
日本皮膚科学会ガイドラインや多くのクリニックの治療方針に基づくと、第一選択はフィナステリドです。
その理由は明確です。
- 副作用の発現率が低い: 初めてのAGA治療において安全性は最優先事項
- 費用が安い: ジェネリックなら月3,000円台。長期継続の負担が少ない
- 十分な効果が期待できる: 5年服用で99.4%に効果が認められた報告がある
- 使用実績が豊富: 世界最多の処方実績。長期安全性データが充実
まずフィナステリドで治療を開始し、その効果を確認した上で次のステップを判断するのが合理的です。
デュタステリドへの切り替えを検討するタイミング
以下の状況では、医師の判断のもとでデュタステリドへの切り替えが検討されます。
- フィナステリドを6~12ヶ月継続しても効果が不十分な場合
- 前頭部(生え際)の薄毛が特に気になる場合(I型5αリダクターゼの阻害が必要)
- フィナステリドで一定の効果はあるが、さらなる改善を希望する場合
切り替えの判断は必ず医師が行います。自己判断での変更は避けてください。また、両薬剤の併用は通常行われません(作用機序が重複するため)。
フィナステリド・デュタステリドに関するよくある質問
Q. 2つの薬を併用できますか?
A. 通常は併用しません。デュタステリドはフィナステリドの阻害範囲を包含しているため、デュタステリド単剤で両方の効果が期待できます。どちらか一方を医師と相談の上で選択してください。
Q. 女性は服用できますか?
A. 両薬剤とも女性は禁忌です。特に妊娠中または妊娠の可能性がある女性は、錠剤に触れることも避けてください。経皮吸収により胎児に影響を及ぼす可能性があります。女性の薄毛治療には別の選択肢があります。
Q. ジェネリックと先発薬の効果は同じですか?
A. ジェネリック医薬品は先発品と同一の有効成分を同一量含有しており、厚生労働省の承認を受けて販売されています。効果は同等と考えて問題ありません。添加物や錠剤の形状が異なる場合がありますが、治療効果への影響はありません。
Q. 服用をやめたらどうなりますか?
A. いずれの薬剤も、服用を中止すると3~6ヶ月で薄毛が再び進行し始めます。AGA治療薬はAGAを「治す」薬ではなく、DHTの産生を「抑える」薬であるため、継続服用が前提です。中止を検討される場合は事前に医師にご相談ください。
まとめ
| フィナステリド | デュタステリド | |
|---|---|---|
| 推奨される方 | AGA治療を初めて始める方 | フィナで効果不十分な方 |
| メリット | 低コスト・低副作用率・豊富な実績 | 高いDHT抑制率・前頭部にも効果 |
| デメリット | 前頭部への効果が限定的 | 副作用率がやや高い・半減期が長い |
まとめると、まずフィナステリドで治療を開始し、6~12ヶ月の経過を見た上で効果が不十分であればデュタステリドへの切り替えを医師と相談するというのが標準的な治療戦略です。
どちらの薬剤を選ぶにせよ、自己判断ではなく医師の診察を受けた上での処方が重要です。Ledian Clinicでは、患者様の薄毛の進行度や体質を考慮した上で、最適な薬剤選択をご提案しています。
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